「林石材店」の仕事
今昔をつなぐ
岐阜に育まれた石工の心
私がご案内します
「林石材店」が納めた神社仏閣の石造りと林さんの足跡を訪ねました。
江戸時代から続く街の歴史を物語るように、今もなお、多くの神社仏閣がうつろう街並みの中にとけこむ、岐阜県岐阜市・・・
そんな色こい風土と文化がいきづく、この切通の地に看板を上げた「林石材店」は、「石作」の屋号とともに100年の歴史を刻もうとする、3代続く石屋です。
暮石にはじまり、神社、寺院で、鳥居や灯篭などの石仕事を納めている同店。
三代目・林和正さんを支えるのは、10年になるという機動力ある若手職人と、この道60年になろうとしているベテラン石工、この三位一体でおりなす職人技が、今の「石作」の真骨頂となっています。
「石も生ものとして扱う」と林さん。
海外産の石材が安価で出回る時代だからこそ、石材の仕入れについても妥協は許さず、石の品質、職人仕事の良さが見えるのは「何10年も先」と、そこに職人としての責任と誇りを重ねます。
そして、お墓づくりの”いろは”を親身に伝え続けているのが、林さんの妻・紘衣さん。きめ細かな気配りに、頼もしくもしなやかな心で、「石作」の看板をともに支えてきました。
近代の機械化と大手企業の参入により、地方では多くの石屋が廃業に追い込まれました。
しかし、林石材店の作品とも言える神社仏閣の石造りを見たとき、地域に根付いた、地域の文化に寄り添ったその姿は、「きっと100年先もここにある」と思わせる今と未来を繋ぐ姿そのもので・・・故人を偲ぶ墓石もまた、その先の未来を紡いでいく家族のためにあるのではないか・・・
そう考えると、何も知らない「お墓を建てる」という人生であるかないかの行いが、少し自分事としてストンと落ち、同時に、岐阜の人たちを羨ましくも思うのでした。
石工の心を刻み続けた一代目が「石作」の名を。
石材業の転機ともなった機械化を次々と進めた二代目が、「自社一貫」スタイルの礎を。
そして、それらを今も体現し続ける三代目石作による”100年の石語り”・・・
今昔が往来する岐阜にふさわしい、受け継がれるべぎ物語が、そこにありました。
/ studio brick lane , 6・吉日・2021